治療例
治療例
足のしびれを伴う腰の痛み 20代女性
ひと月前から膝の後ろから足の外側にかけてしびれがあり腰を反らせると痛むという状態でした。
身体全体を診ると左足の関節が右足に比べると固く動きに制限を感じました。
問診の結果10代の時にスノ-ボ-ドで転倒し靭帯を痛めた事がわかりました。
仕事でヒ-ルを履く機会が多く左右の足に狂いが生じ骨盤に歪みがあります。
骨盤の歪みは横隔膜を緊張させ、さらに脊椎に強い影響を出していました。
その結果、坐骨神経が圧迫され足のしびれを引き起こしていたのです。
腰の痛みやしびれがあるとその場所に問題があると捉えがちですがこの患者さんは、過去の古傷の足関節靭帯に過剰な負担がかかったため歩行や姿勢がくずれたのが原因であり骨盤の歪みは代償作用でした。
ソフトな手技による骨盤の歪みの矯正と足関節の固着した筋肉と関節をゆるめました。ヒ-ルは避けてもらい自宅でのストレッチをしてもらいました。
4回の治療で症状はなくなりました。今も再発はしていません。
インフルエンザ 中学生男子
頭痛とだるさがひどく病院にいきインフルエンザの診断を受けた後来院しました。38,5℃ありました。
リレンザと吸入薬を処方されましたがアレルギ-があり薬を服用せずはりで治療することにしました。解熱の目的で脇の下に保冷剤を入れ30分間の足湯をさせました。
ベットに寝かせ脈診をすると奇経が強くでています。
奇経とは元気な時はあまり目立たず清流の如く流れていますが病気になると放水路のように毒素排泄や調整をする身体に備わった恒常性機能の一つです。
後谿、申脈、列欠、照海という4つのツボにはりを刺入し脈を整えました。
次に首と背中の反応箇所にはりを接触させ1ミリほど刺入しますと肌に艶がでました。
治療を終え充分な水分と睡眠をとらせました。
翌日は36,5℃の平熱になり頭痛もなくなりました。
ここで大切なことはインフルエンザにはりが効いたという事ではありません。急性疾患や感染症など一刻をあらそうものは西洋医学の力をかりなければ危険です。
沢山の方がそれで救われています。ただ代替療法であるはり、きゅうであっても患者さんの治ろうとする力を手助けし不具合を生じさせている原因を正常に戻すことにより患者さんの中にある生命力が治していきます。
治療はその力に火をつける役目です。
花粉症の症例 50代女性
3年前から春先の花粉症の症状に悩まされているらしく話をしながらも眼のかゆみと鼻水が止まらないようでした。
人にもよりますが早食いや夜遅くに甘いものや果糖を取りすぎている習慣で腸が冷えていると花粉症をひきおこすことがあります。
脈診すると膵臓、
胃、肺、大腸に関係する経脈(気の流れ)がバランスを崩していました。お腹の周辺は冷たく逆に手のひらと足先はほてっていました。
はりは膵臓のラインと大腸のライン又胃のラインと肺のラインを相関させました。
機能亢進しているものと機能低下しているものを元に戻す治療です。
背部の天柱、天宗、胃兪、脾兪にはりをし湧泉にお灸をすえました。
起き上がってもらい耳のツボを専用の器具で探索し反応点に皮内鍼(3日ほど入れたままでも大丈夫)をしました。
2回目は膀胱のラインに治療が必要でした。
患者さんに伝えると最近は頻尿で夜中に何度か目がさめるとのことでした。
前回の治療に効果があると次に治療が必要とされる情報が脈を通して表われます。
我々はFTによる診断でその情報を受け取り何をすべきかを理解します。
膀胱のラインを整え仙骨を温灸であたためました。
3回目の来院時は症状はかなり改善されていました。
耳のツボは効果があったとおっしゃっていました。
花粉症の症状がでた前年に身内のことでかなりのストレスて悩んでいた事を話してくれました。
交感神経と副交感神経の関係性がバランスを失うと我々の身体は思いもよらないまるで舵取りのできなくなった船のように不安定なものになってしまいます。
想念の力は強く抑えていた心身の疲れを噴出させるかもしれません。
はりきゅうは、自律神経のバランスの回復のお手伝いをします。
顎関節症例 12歳男子
小学6年生の男子が顎が開かないという症状で来院しました。
整形外科や口腔外科を受診し投薬しましたがよくならないとのことでした。
受験を控えている為のストレスでしょうといわれたそうです。
口を開いてもらうと彼の親指が入る位が精一杯でそれ以上は痛くて開くことができませんでした。
身体全体を診ると首の骨の2番目の関節の動きが悪くなっていました。また前かがみの状態が長く続いたため上部の肋骨と横隔膜の制限があり呼吸が浅くなっていました。
確かにストレスが顎の関節の症状をひきおこしているように思いました。
東洋医学では心とからだは繋がりを持つ(心身一元論)と考えます。
私は子供さんにも心とからだは互いに影響しあっていると伝えます。
患者さんと施術者が共に理解することで治癒力は高まるからです。
ソフトな手技で頸椎の関節の歪みを元の状態に戻し深い呼吸を取り戻すため上部の肋骨の制限を解放し胸椎と骨盤をゆるめました。
やがて彼の顔色に赤みがさし大きなため息を繰り返しました。
翌日は、はっきりとした口調で話せるほど回復していました。不安を抱えてる状態が続き心もからだの機能が低下してきた時に誰かに見守られているという安心感が大事だと思います。